3つの要素で成り立つターミナルケア

余命わずかと診断された患者に対して医療的ケアを行うことを「ターミナルケア」や「終末期医療」といいます。
昔は大家族で住んでいる世帯が多く、余命わずかな人を家族みんなで世話をし、家で看取ることが一般的でした。
しかし現代では核家族化が進み、夫婦共働きが多くなっているため、生活環境そのものが大きく変化しています。
そのため、自宅での看取りが困難になり、ターミナルケアのニーズが少しづつ高まってきているようです。

ところで、ターミナルケアといえば、緩和ケアをイメージする人が多いでしょう。
ターミナルケアに緩和ケアが含まれることは珍しくありませんが、実はこの2つには違いがあります。
緩和ケアは、後天性免疫不全症候群や末期がんなどに対するケアで、苦痛を取り除く点ではターミナルケアと同じですが、こちらは苦痛を取り除くために医療的アプローチを取り入れることが主な役割となっており、「死」に直面した人に対してだけ行われるものではありいません。
ですから、ターミナルケアと緩和ケアを同一に考えるのは避けましょう。

それから、ターミナルケアは、主に身体的ケアと精神的ケア、社会的ケアの3つに大別して行われますが、共通していえるのは、延命が目的ではないということです。
身体的ケアは医師や看護師が患者の状態により痛みを取り除くケアをしたり、必要に応じて、胃ろうや点滴や酸素吸入などを行います。
また、死を意識すると、患者だけでなく、その家族も気持ちが不安定になるので、看護師は悩みを聞いたり、アドバイスをしたりして、精神的負担を和らげてあげる必要があります。
そして、社会的ケアでは、医療費の費用に対する心配を解消するために、医療ソーシャルワーカーを紹介したりして、ケアを行います。